MARUKU blog

臨床検査技師の医療をメインに有益な情報を発信しています

MENU

ALL(急性リンパ性白血病)について

Hatena

f:id:tachimune:20201005213743p:plain



管理人のMARUKUです。

今回は水泳の池江選手が罹患し現在は復活され、その際話題となったALL(急性リンパ性白血病について解説していきます。

 

ALLとは?

ALLは遺伝子異常により、リンパ系前駆細胞の段階で分化が停止し、幼若なリンパ※芽球が単クローン性に増殖する造血器腫瘍です。

WHO分類では、リンパ系腫瘍に属し、B細胞由来とT細胞由来に分かれる。

 

 

血球(細胞)は、人間と同じように新生児→幼児→小児→大人

のように成長していきます。

リンパ系前駆細胞は、リンパ球の言わばまだ成熟していない新生児くらいの状態の細胞です。

この状態では成熟したリンパ球のように抗体産生したり、ウイルス細胞を破壊したりはできません。

 

芽球とは?

 

 芽球は先程の前駆細胞から少し、成熟した細胞した状態の細胞で、これが血液中に存在しても前駆細胞と同様にこのままだと何も役に立ちません。

 

 

どのような人が罹患するか

 

ALLは小児と高齢者でなりやすいといわれています。

 

症状は?

 

正常な血球が少なくなることからくる 発熱、貧血、出血傾向

また頭痛、嘔吐、リンパ節腫脹も見られます。

 

治療

 

年齢や状態によって治療法は異なってきますが、化学療法や造血幹細胞移植を主な治療法として行います。

しかし、化学療法でもなかなか※完全寛解しなかったり骨髄移植でもGVHD(移植片対宿主病)などの副作用が出たり、ドナー(骨髄を提供してくれる人)がなかなか見つからないなど簡単ではないのが現状です。

 

予後は、小児など比較的若い年齢であれば約8割が治癒し、また化学療法後の完全寛解までの期間が短いとされています。

完全寛解とは

 

骨髄における造血能が回復し、異常検査所見や白血病による症状が消滅した状態になっていることをさします。

化学療法後この完全寛解に到達することが治療の第一目標であり、寛解後は体内に残っているわずかな白血病細胞(微小残存病変)を根絶すべく地固め療法といった再度化学療法を行う治療を行い治癒まで到達させます。

治療にかかる時間は少なくても1年。年齢や寛解しない場合によってはもっと多くの時間がかかります。

 

補足:白血病の「急性」「慢性」「骨髄性」「リンパ性」ってどういう意味?

 

白血病の種類ですと他に急性骨髄性白血病(AML)や慢性リンパ性白血病CLL)などいくつかの種類に分かれています。

さっくりまとめると

骨髄系腫瘍(好中球や好酸球など)を骨髄性

リンパ系腫瘍(リンパ球など)をリンパ性

分化能が失われた(成熟細胞になれない)増殖を急性

分化能が保たれている増殖または成熟後の腫瘍化を慢性

 

と表します。

急性のほうが早期治療が必要となります。

また慢性であっても治療を怠っていると急性に移行することもあります

 

まとめ

 

今回はALL(急性リンパ性白血病)について解説しました。

まとめると

ALLは小学生から高校生くらいの患者が多いような(管理人の経験上)気がします。

ですが現代の医療では年齢が若ければ治癒に至る確率はとても高く、罹患しても病気に負けず治療をしていってほしいと思います。